企業経営者である代表者の相続の場合と、非事業者でかつ相続財産の多くが不動産である相続の場合とでは、対策は異なります。名古屋圏(名古屋市外)においては、相続財産の大半が不動産という土地オーナーが多く、不動産評価と納税資金対策に留意する必要があります。
[土地オーナーは遺産の分割検討が重要]
〔1.親族間の争族問題〕
節税も大切ですが、大切な家族が壊れない事が一番重要です。つまり、どのように遺産を分割したら家族全員が幸福か?という視点です(争族対策)。相続対策は節税対策よりも次の世代の幸せのための対策でなければなりませんし、また相続が家族の重荷になってもいけません。
アパートローン等の借入金債務が生命保険等によって解決されなかった場合、相続発生時に重大な問題が生じる可能性があります。マイナス財産たる借入金債務は法的には遺産分割の対象でないため、銀行等に対しては遺産分割協議書で対抗できません。抵当権による債務を特定の相続人へ承継したいなどの場合は、遺産の分割の仕方について生前に充分検討しておく必要があります。
ご先祖様からお預りした土地を守り、少なくとも優良な不動産を次の世代へ残すためには、遺産分割の検討は重要です。複数不動産の分割検討は土地オーナが最終的には自身で決断しなければならない、避けて通れない問題と言えるでしょう。
〔2.納税資金の問題〕
相続はなぜもめるのか?法定相続分どおり平等に財産を分けられないからです。遺産分割において、不動産は平等に分けることは極めて困難です。一方、相続税の納税は現金で行うのが原則であり、土地オーナーのように相続財産に占める不動産の割合が多い場合は、受け取る財産は不動産で納税は現金というミスマッチが生じます。よって、相続対策として納税資金対策も重要となってきます。家族を安心させるためには、納税資金対策も大切なことになります。
〔3.節税対策の問題〕
いかに合法的に税負担の軽減ができるかという節税対策の検討です。節税対策は事業リスクや税制改正によるリスクを内包することが多く、あくまで良識的な判断のもとで対策を検討することが必要です。
〔4.中立・公正で長期的な視点からの対策〕
将来起こる相続税額を試算し、中立・公正な立場から、本当に必要な相続対策を検証する必要があります。相続対策は、当面の課税を繰り延べて納税額を抑えるより、二次相続や三次相続を見据えて、長期的に見て最良となる対策とすることが重要です。
現金310万円の現金連年贈与などは平均年収が厳しいこの時代、勤労意欲の減退を招くこともあります。次の世代が稼ぐことを忘れてしまうようなら、本末転倒です。生前贈与によって次の世代の稼ぐ力・働く意欲をそがないようにする注意が必要です。
また遺言についても、例えば遺言書に記載されていない財産があれば分割協議が必要となり、良かれと思って行った遺言でさえ、慎重にこれを行う必要があります。
このように、相続対策は時間がかかることを見越して、相続される方が元気なうちにできるだけ準備を進めることが大切です。
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