*相続税の概算額を求める方法

 万一の場合に備え、一度は相続税の大雑把な概算額の確認及び納税資金のチェックをしておくと良いでしょう。相続税路線価の付されている土地であれば比較的簡単に土地の相続税評価額を求めることができますので、国税庁の相続税路線価を調べるか、もしくは毎年の固定資産税課税明細書・納付書に記載されている固定資産税評価額により、所有する土地建物の相続税評価額の概算合計額を簡単に求めることができます。

 

①土地建物の相続税評価額の概算合計額を求める

・土地建物の相続税評価額の合計概算額は固定資産税課税明細や名寄帳の固定資産税評価額から求めます。

 

土地=直近の固定資産税名寄もしくは課税明細における土地の固定資産税評価額の総合計に8/7を掛けて求めます。

 

・国税庁の相続税路線価に基づく相続税評価額は概ね土地の時価の8割程度の水準であり、市町村の固定資産税評価額は概ね7割程度の水準であることから、これにより土地の相続税評価額の概算合計額を求めることができます。

・相続税申告時における土地の相続税評価額は各土地の増価もしくは減価要因を加味して細かく求めますが、相続税の概算額を求める上では、これで十分です。

・相続税路線価の付されていない倍率地域や生産緑地・市街化農地等については別途勘案する必要があります。

 

建物=直近の固定資産税名寄もしくは課税明細における家屋の固定資産税評価額の総合計

・相続税評価における家屋の評価額は家屋の固定資産税評価額によるものとされています。

 

②課税価格を求める

課税価格=(土地建物の相続税評価額概算合計額)+(預貯金や株式等の概算合計額)-(借金などの債務)

 

※この場合に、家族名義の預貯金や株式などのいわゆる名義財産に留意せねばなりません。少なくとも百万円単位で家族名義とした預貯金や株式(口座を口座名義人が管理し、出し入れを行っているもの等は除きます)はあなたの遺産として税額を計算しておく必要があります。

 

③課税遺産総額の概算額を求める

課税遺産総額=課税価格-基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)

 

④相続税の概算額を求める

課税遺産総額 × 法定相続分 = 法定相続分に応じる取得金額

法定相続分に応じる取得金額 × 税率 - 控除額 = 算出税額

各人の算出税額を合計する → 相続税の総額

 

以上により、貸家建付地・貸地、小規模宅地などの評価減や配偶者税額軽減などを行う前の大雑把な相続税概算額を素早く求めることができます。これによって、万一の場合に必要な納税額の目安を判断できます。

【相続税の概算額を求める 財産目録と分割案の試算】