*区画整理地の相続対策

- 所有地が戸建向けの住宅地ばかりの場合の相続対策 -

 

○土地区画整理事業が完了もしくは施行中で、用途地域が第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域などに土地が偏在する土地オーナーの場合

 

 区画整理の換地計画において当街区が概ね50坪前後の戸建住宅用地と計画された区域。景気の悪化やデフレの影響から空地は戸建分譲業者に売却されたのち、最低敷地を単位とする戸建住宅へと変化。あちこちで見られる風景です。

 このような戸建住宅地域に例えば500坪以上の土地を有する場合は、相続及び維持管理の観点からいずれ何らかの対策を講ずる必要が生じます。賃貸アパート・マンション等が難しく、また月極駐車場としてのリターンも厳しいとなると、いずれ相続前後に売却ということになります。

 先祖代々の土地を残そうと考えていても、最終的には売却となり、多くは土地を現物として残すことができません。土地を現物として残すためには、固定資産税等の維持管理費及び相続税納税資金を用意するためにやはりある程度の収益性が必要ということになります。法人化による対策を行う場合も、それなりの収益があることが前提となります。

収益を挙げるために建物を建てて貸す場合、様々なリスクを伴います。複数の土地を有する土地オーナーで既に賃貸事業を行っている場合などは、累進課税により所得税等が増え手元に残る残金が減るため、何のために賃貸事業を始めたのかと悩むこととなります。建物を建てて貸すというリスクを冒すことなく土地を残すには、土地の買い替えなどを検討する必要があります。例えば隣接市町村における比較的土地単価が低い県道沿いで、事業用定期借地権による地代獲得が見込める店舗等用地に買い替えるなどです。先祖代々受け継いだ重要な土地を残すにはまず土地に優先順位をつけ、例え一部の土地が減ったとしても、収益性の高い土地に買い替えるなどの検討が必要かと思います。

商業立地の土地が少なく区画整理地など住宅地域ばかりに土地が偏在する土地オーナーにおいては、一旦売却益はでても、収益性の高い土地に買い替えて行くなどの検討は早い段階で行う必要があるものと思います。地方道沿いの流通店舗用地はある程度規模が大きいことが必要であり、500坪程度以上で立地が良い場合は、いわゆる相当地代を超えるような高い地代を受け取れるケースもあります。