『土地売却が必要となる場合に備えて家族信託を活用する』

 

認知症対策のご相談で増加傾向にあるのが「将来的に、自宅不動産を売却して老人ホームに入れるようにしておきたい」というものです。不動産の売却について生前対策をしておきたいというご相談です。

将来的に、認知症になってしまい判断能力が無くなってしまうことにより不動産の売却が出来ない、成年後見人をつけたとしても家庭裁判所の判定によっては不動産の売却ができないという事態が発生します。 
こういった場合の対策としても、
家族信託は非常に有効な手段となります。

成年後見人をつける方法もありますが、この場合、年間40~60万円近くの費用が発生してしまいます。不動産売却の為に後見人をつけるにはあまり効率がよいものではありません。

 

家族信託を活用して土地売却を行う場合、親(委託者・当初受益者)の判断能力が低下した後でも、子(受託者)が親に代わって土地の売却手続きを進められるという大きなメリットあります。 家族信託を活用した土地売却の方法と手順、注意点について。

 

 

家族信託を活用するメリット

①認知症対策: 親が認知症などで判断能力を喪失しても、受託者である子が親の意思決定能力に左右されずに土地の売却(処分)を行うことができます。

②柔軟な財産管理: 成年後見制度に比べ、信託契約の内容により柔軟な財産管理や運用、処分が可能になります。

③複数世代にわたる承継: 信託契約で、次の受益者(2番目、3番目)まで指定できるため、遺言と同様の効果を持ち、複数世代にわたる資産承継が可能です。 

 

家族信託で土地を売却する手順

①家族での話し合いと合意形成:

誰を委託者(財産の所有者)、受託者(管理・運用・処分を任される人)、受益者(信託財産から利益を得る人)にするかを決めます。

②信託の目的(例土地の売却代金を親の介護費用や生活費に充てるなど)と、土地の管理・処分方法について具体的に話し合います。

③信託契約書の作成:

話し合った内容に基づき、信託契約書を作成します。この契約書には、受託者に不動産の処分権限(売却権限)を明確に記載することが不可欠です。

後々のトラブルを避けるため、公正証書で作成することが推奨されます。

④不動産の信託登記:

土地の名義を、委託者から受託者へ変更するための不動産登記手続きを行います。

この際、法務局で「信託目録」が作成され、信託契約の内容が記録されます。

登記手続きは専門知識が必要なため、司法書士に依頼するのが一般的です。

⑤信託専用口座の開設:

売却代金などの金銭を管理するため、受託者名義で「信託口口座」などの信託専用の口座を開設します。 

 

注意点と専門家の活用

①契約内容の柔軟性: 家族信託は柔軟性が高い反面、契約内容が不十分だと目的を達成できない可能性があります。特に、売却権限の有無は重要です。

判断能力があるうちに: 家族信託契約は、委託者(親)に判断能力があるうちに締結する必要があります。判断能力喪失後では契約内容の変更も困難になります。

③税務処理: 信託財産から生じる収益や売却益にかかる税金(所得税・住民税など)は、原則として受益者(多くの場合、親)に課税されます。税務処理がやや複雑な場合があるため、税理士などの専門家への相談が安心です。

④専門家の利用: 登記や税務、契約書の作成には専門的な知識が必要なため、司法書士や弁護士、税理士といった専門家のサポートを受けることが推奨されます。 

これらの手順と注意点を理解し、家族間で十分に話し合った上で進めることが、家族信託を活用した土地売却の鍵となります。